一心亭

喜劇 駅前番頭 (1966年 東京映画 東宝)

徳さんとおケイちゃんの経営する箱根の旅館である。で支配人はいつものお決まりで孫さんね。

建物全体はこんな感じ。

 

▼一心亭全景_画像01

入母屋に小さな望楼を乗せた戦国期の初期型天守閣のような造りだ。

結構特長ある建物なので安易に考えていた。

まず「近代建築」という括りから探してみたが、これがなかなか出てこない。

次に「箱根」「旅館」「木造」「天守閣」「寺社」といろいろ試したけど全くダメだった。

 

調査範囲だが、次郎(フランキー堺)が面接の為に降りたのは強羅駅だった。よって強羅から箱根湯本の間とし、Yahoo、Google、Goo、国土地理院の空撮をこまめに調べたが、見つける事は出来なかった。

 

さて作品に登場する一心亭の画像が少なく、上記画像01と少し遠くから写したものだけだ。後は玄関周りとか別棟など、あまり役に立たない。

では少し遠くから写した画像を見て頂く。

 

▼一心亭遠景_画像02

これを見ると一心亭は小高い山(丘)の上にあるのがわかる。

ここまで調べた過程で自分の中で「箱根湯本」と特定していたので、画像の中に数字を落とし込んでみた。

早川 湯本橋 土砂崩れ除け(函嶺洞門のちっちゃいやつ) 坂道

 

は無理やりはめ込んでみたが、これが正しいとなると、一心亭は現在の北原ミュージアム辺りになる。丘の上にあるところは同じだが、北原ミュージアムは建物自体かなり新しい。「ここの前身は一心亭か?!」とかなりの期待を抱いたが、その辺りのデータが全くなかった。

 

一心亭の調査を始めて1年余りが過ぎてしまった先日、京南大学の女大先輩よりつつかれ、けっきょく奥の手を使ったところすんなり見つかった。最初から使っておけばつつかれることも無かったのにと少し後悔している。

 

さて件の一心亭であるが、箱根湯本の清光園という実在の旅館である事がわかった。残念ながら平成14年に廃業している。画像等はほとんど残っていなかったが、唯一これが当時の雰囲気を残している。

 

▼清光園_画像03

かなり歴史のある建物のようだが、平成5年に料亭旅館から食事付きの日帰り温泉施設に転身した。平成14年の廃業後は大手家電販売店ヤマダ電機の社員研修施設、礎生塾となり建物も取り壊され、新たに建てられている。

 

次に玄関周りを見てみる。

 

▼一心亭玄関周り①_画像04

かなり立派な玄関であるのがわかる。画像03とは屋根の形など全く違うのがわかる。手前には立派な看板もある。

 

▼一心亭玄関周り②_画像05

玄関とは反対側になる辺りに従業員用と思われる内玄関のような物がある。ちょうど孫さんが出てきたところだ。建物も複雑で、画像03のように直線的ではないのがわかる。

 

ここまで見てきて玄関部分は全く別の施設ではないかと考えていたが、以下の動画により同じ施設であることが確認できた。尚、動画は同じシーンが2度再生される。わかりやすくするため、2回目は再生速度を遅くしてある。

 

▼一心亭_動画01

あくまで推測だが、日帰り温泉施設に変更した際に玄関周りを建て替えたのではないかと思う。ついでに奥の建物の外壁も白く塗り替えたのだろう。

 

さて平成14年廃業という事は、今から10年程前である。もしかして空撮でこの建物が写っているかも・・・・・ と淡い期待があった。以前公開した澄ちゃん坂で國學院大学の旧校舎がGooの空撮で写っていたからだ。

今回もGooglemap、Goo、Yahooを調べた結果、ラッキーにもYahooに写っていた。

 

▼ありし日の清光園_画像06

画像01の方、屋根中央に望楼のような物が突出しているのがわかる。画像03では直線的な玄関部分が確認できる。温泉入浴施設になってからの撮影と思われるので、平成5年以降の撮影と推測する。

 

Yahooがこんな古い空撮を未だに掲載していた事に感謝する<(_ _)>

 

 

〔ロケ地情報〕

 名称:一心亭(旧清光園 現ヤマダ電機礎生塾)

 住所:神奈川県足柄下郡箱根町湯本508

 交通:箱根登山鉄道箱根湯本駅下車徒歩15分