成旺印刷ビル

日本一の断絶男（1969　東宝　渡辺プロ）

クレージー後期の作品。こんなこと言っちゃいかんが、何度見てもストーリーが頭に入らない作品。なんだろね？

さて今回の場所は伝広社という広告代理店の倉庫だ。

ではそのシーンの動画から。

▼２人を乗せた黒塗りのクラウン登場_画像①

中央奥より黒塗りのクラウン①が走ってくる。道路右には蒲鉾型屋根の倉庫らしき建物②がある。

道路は片側２車線充分取れる幅があり、道路上の架線③により、都電が走っていることがわかる。

▼車から降りる植木さんと藤岡琢也_画像②

電柱④に「座席カバー㈱松美」とある。近所にあるのか？⑤はちょっと見にくいが、「㈱伝広社○○倉庫」とある。ご丁寧に小道具まで置いてある。右手の建物⑥は、コンクリート造りでかなり大きそうだ。

▼先に入る藤岡琢也を後ろから蹴飛ばす（格好をする）植木さん。_画像③

建物⑥は間口もかなり広そうだ。左右の扉の間⑦は切符売り場のような造りになっている。

▼何があったのか、急いで飛び出す植木さん。そこへ都電が！_画像④

都電⑧は３４系統、渋谷～金杉橋間を走っている。

さてここまででヒントとなりそうなのは以下３点。

②蒲鉾型屋根の倉庫　

⑥劇場か映画館のような建物（全体像は不明）　

⑧都電３４系統

まず都電３４系統だが、この線は渋谷駅を出て明治通りを東へ、古川橋、一の橋と通り金杉橋までのルートだ（以下MAP参照）

この間で私が推測したのは並木橋から天現寺橋までの間の明治通り沿いである。

GoomapのＳ３８空撮をつぶさに見た。、②③のような特徴のある屋根形状や、大規模な建物はすぐ見つかるだろうと思っていたが、全くダメ。

「もしかして都電の系統板を変えたか？」と疑ったが、小田急や東急バスじゃあるまいし、このセンもないだろう。

▼都電３４系統路線図_画像⑤

そんなこんなで２年以上も煮詰まってたところで、鰤ほぐしさんよりわかりました！との一報が入った。

　彼女は⑥の建物を映画館と断定し、昭和期の映画館を片っ端から当たったようだ。地域的には港区。そんな中で芝に芝園館という名の映画館があったことが判明。これを検索したところ以下のようなブログの記事があった。

Ｃｌｉｆｆさんのブログ　Ｂｏｃｃｈｅｒｕｎａ古事記　

2007/07/10　芝園館とジェリー伊藤　より

昔、住んでいた家の近所に｢芝園館」という映画館がありました。
「芝園館」は、芝園橋から古川沿いに金杉橋方向に歩いてすぐのところにありましたが、・・・・・（中略）
｢芝園館」は、東宝系の長い歴史のある映画館で、戦前は大賑いだったそうですが、私が物心ついた１９６０年代に閉館してしまいました。
閉館後は、土地を印刷会社が買収し、今はまったく面影がありません。

（赤字が重要ヒント）

この中でも東宝系というところから、ロケ地に選んだと考えられる。

また１９６０年代に閉鎖、土地を印刷会社が買収とあるが、この印刷会社がタイトルの成旺印刷株式会社だ。

この会社のＨＰの会社沿革には

１９６８年６月　旧芝園館を買収　とある。　確認してみる？>>>

以上により鰤ほぐしさんは、伝広社倉庫を芝園館と特定した。

ではこの場所を昭和４３年の住宅地図で見てみる。

▼S43住宅地図_画像⑥