日本食堂品川営業所と高輪橋架動橋

特急にっぽん (1961年 東宝)

 矢板喜一(フランキー堺)と藤倉サヨ子(団令子)は旅のレストラン日本食堂の社員。二人は特急こだま号に乗務し、喜一はコック、サヨ子はウエイトレスをしている。

今日も二人はこだま号へ向かうのであった。

▲品川営業所の屋上にはお稲荷さんがある。奥には第一京浜、品川駅方面が見える。(画像①)
▲品川営業所の屋上にはお稲荷さんがある。奥には第一京浜、品川駅方面が見える。(画像①)
▲左を見ると広大な田町電車区と特急こだま号の勇姿が(画像②)
▲左を見ると広大な田町電車区と特急こだま号の勇姿が(画像②)
▲日本食堂品川営業所ビル。(画像③)
▲日本食堂品川営業所ビル。(画像③)
▲食材をリヤカーに積みこだま号に向かう喜一(画像④)
▲食材をリヤカーに積みこだま号に向かう喜一(画像④)

 この後、喜一、サヨ子は他の乗務員と専用の通路を通って、こだま号へ向かう。

▲坂を下りガード下へ入る乗務員一行。上を電車が通過中だ。(画像⑤)
▲坂を下りガード下へ入る乗務員一行。上を電車が通過中だ。(画像⑤)
▲サヨ子も追いつき最初のガードへ入った。(画像⑥)
▲サヨ子も追いつき最初のガードへ入った。(画像⑥)
▲1つ目のガードを出た2人(画像⑦)
▲1つ目のガードを出た2人(画像⑦)
▲3つ目のガードへ入った2人(画像⑧)
▲3つ目のガードへ入った2人(画像⑧)
▲何やらもめながら3つ目のガードを出た2人。右上に営業所がチラッと見える。(画像⑨)
▲何やらもめながら3つ目のガードを出た2人。右上に営業所がチラッと見える。(画像⑨)
▲「早く~!」と向こうでその他大勢が呼ぶ。そろそろ出口か?(画像⑩)
▲「早く~!」と向こうでその他大勢が呼ぶ。そろそろ出口か?(画像⑩)
▲ガードを出た2人は右折し坂を上る。(画像⑪)
▲ガードを出た2人は右折し坂を上る。(画像⑪)
▲やっとこだま号に到着した2人。リヤカー引いて結構な重労働だ。(画像⑫)
▲やっとこだま号に到着した2人。リヤカー引いて結構な重労働だ。(画像⑫)

〔解説〕

 さてこのガード下を潜る通路は一体何処だろう?昭和43年の住宅地図にも載っている。

▲昭和43年住宅地図(画像⑬)
▲昭和43年住宅地図(画像⑬)

 赤枠が営業所。薄赤いラインの部分がガード下の通路になる。この通路のどこかで地上に出てこだま号に向かったわけだが、住宅地図ではわかりにくいので、昭和38年のGooMAP空撮で見てみる。

▲昭和38年GooMAP空撮。赤枠は営業所。(画像⑭)
▲昭和38年GooMAP空撮。赤枠は営業所。(画像⑭)

 ちょっと見難くて申し訳ないが、ガー下の通路は確認できる。

では一体何処から地上に出たのだろう? 私のこれまでの調査では画像⑨にあるように3つ目のガードを出てから右折して地上に出た事になる。しかしだ、上のMAP画像⑭にもあるように、3つ目のガードを出た辺りの右手には坂道らしきものは確認できない(拡大参照)。高低差があり2段上がって地上に出るような感じか・・・・・ とてもリヤカー引いて上がるのは無理だ。

 ん?ちょっと待て。3つ目のガードを出てから画像⑩で先のガード下より「早く~!」と呼ばれている。その先には出口がある。という事は、4つ目のガードを出てから右折するのか?

4つ目のガードって、画像⑭見てもそれらしきポッカリ穴の開いたような場所は確認できないし・・・・・ 最悪(?)一番東側の出口まで行っちゃえば別だが、そうなると田町電車区の敷地から出ちゃって、画像⑫のように列車の横を歩くのに結びつかない。

 

ここでかなり悩む。とりあえず「日本レストランエンタプライズ(旧日本食堂)」のお客様相談室にメールする。すぐに返事が来ないのはわかっているので、この通路が何なのか、再度調べてみた。

 

 この通路は高輪橋架動橋というらしい。通路なのに橋? 変なの。まぁいいや

いわゆる一般道で、日本食堂や国鉄の私道ではないということだ。Wikiの「田町車両センター」のページ、その他の項にこんな事が書いてあった。

 

ガードから本センターに通じる通路が2カ所あるが、西側の1カ所は鉄板でふさがれており警告板のみ残っている。東側は「閉鎖 品川運転所長」の札がぶら下がっているのみで原形をとどめている。

 

これは興味深い! そこで結論!

きっとセンターに通じる2ヵ所が当時は開いていて、どちらかを通って喜一たちは地上に出たのだ。通路は一般道ということだが、まだまだ自動車の少ない時代。のんびりと撮影もできたのだろう。

 

結局その通路は確認できていないが、これにて一件落着!とする。

 

が、どうも何か気持ちが悪い。大事な事を思い出した。「これは映画だ」という事だ!

 

再度疑問点を箇条書きにしてみる。

画像⑩のガード出口の先に次のガード入口らしきものが見えない。

画像⑪の右側、ガード下へ入って行くようには見えない。行き止まりのようだ。

画像⑪で2人の奥に見える黒い貨車とその右の建物が、画像⑭の東側出口の上に確認できる。(以下参照)

▲貨車と建物が同じ(画像⑮)
▲貨車と建物が同じ(画像⑮)

 確認いただけましたか?それにしても撮影時期が全く違うのに貨車が同じ位置にあってくれたおかげで以下の通り解決できた。

 

画像⑪で2人が出たのは東側の出口である。その後2人は車両区内に入りこだま号の横を歩くシーン画像⑫を撮影した。

撮影場所を変えてしまったという映画得意の技法(?)だった。あ~悩みすぎて損した。

 

因みにこの高輪橋架動橋、高さが160cm位しかなく、タクシーの屋根の上にあるあの光るヤツ、あれがぶつかって壊れてしまうので提灯殺しとも言われているらしい。

Youtubeでもここを走る動画が結構アップされている。興味のある方は是非走ってみては如何か。

 

最後に東側出口を新旧画像で!

▲少し角度がずれてるが、ストリートビューではこれが限界。現在は上に新幹線が走る。(画像⑯)
▲少し角度がずれてるが、ストリートビューではこれが限界。現在は上に新幹線が走る。(画像⑯)

〔このシーンの出演者〕

 ・フランキー堺 ・団令子 他

 

〔ロケ地情報〕

名称:日本食堂品川営業所(現、高輪センタービル)、高輪橋架動橋

住所:都営地下鉄浅草線泉岳寺駅下車A4出口徒歩1分

交通:東京都港区高輪2-19-13